成人式のこと
ニュースやインターネットで今年は成人式の話題をよく耳にしたような気がします。
昨年は自分には無縁だったから気に留めていなかっただけかもしれないんですが。
そもそも、そういえばテレビがない場所で暮らしていたからかもしれませんし、あんまり日本人と話す機会がなかったからかもしれません。
外に出てみれば、あんまり年中行事を意識する機会もないものです。
新成人の初々しい晴れ着姿を見て、思い出すことは決して楽しいことばかりではありません。
私は成人式に出ていません。
地元の友人がほとんどいないのも、その一因です。
本当はいけるような状態じゃなかったんです。
二十歳の6月頃から前撮りの計画を立てていました。
でも、実現しませんでした。
私の不潔恐怖の症状があまりにもひどくなりすぎたのです。
長い丈の物がそもそも着れない。
外に出るのが苦しい。
写真館に行けない。
もう学校へ行く以外はなにもできませんでした。
見動きとれなかったんです。
あの1番輝かしい時代を私はそうやって過ごしたんだという思い出です。
でも、それがあったからこそ、今の私がいるのであんまり後悔はしていません。
ただ、ほろ苦いだけです。
21歳になって症状が緩和しだした頃、ようやく後撮りをしました。
当初予定していたものより、大人しいものになりましたが、それでもうれしかったんです。
祝ってもらえたこと、着付けの際にいろんな人に綺麗だと言ってもらえたこと。
それから、自分の病気が快復に向かっていること。
ぜんぶがありがたくて、優しい思い出なんです。
成人式に行けなくて情けない思いをする人もいるでしょう。
でも、大丈夫です。
身近な人に祝ってもらえたら、もうそれで充分なんです。