ハグしかできないけど……
ブラジル人の友人がたくさんいます。
彼女たちは快活だけど、心の機微に聡く、私の病気を個性として扱ってくれます。
もちろん最初は戸惑いますし、いろいろ聞かれもしますが、理解してくれようとしてくれているからこそのものです。
そのため、じっと聞いてくれます。
日本人にもたくさん質問してくる方はいます。
そして中にはアドバイスまでくれる人までいます。
もっとこうしたらいいのに、と。
私も充分にわかっているのです。
しかし、ロジカルな思考を感情のままに使うこの症状は言われて、「はい、そうですか」と治せるものではないのです。
不合理だとわかっていてもやめられないのが、恐ろしくも疲れるのです。
今、私は以前よりもできること、気にならないことが増えました。
それでも、助言を受けて傷つくことも多いのが現実なのです。
見下されているような気になったり、私の今までの人生を知らずに簡単に口出しされるのが悲しくなったりします。
その場は作り笑いで逃れますが、家に帰って泣くことも多いのです。
そんな人間関係の中で私が最も上手くやっていけて、好きなのがブラジル人の女の子です。
最初は無頓着な彼女たちに私の症状をわかってもらう必要があるので少し苦労しますが、だんだんとさりげなく気を遣ってくれるようになった時点で、私は心を許します。
ベタベタはできませんが、お喋りを楽しんだり挨拶に投げキッスを送り合うようになります。
握手はできませんが、クラス替の時期になる頃にはハグもできるようになりました。
普段から私がどれだけ周囲に怯えているか知っている彼女たちは、快くハグを受け入れてくれ、感動までしてくれるのです。
時間はかかりますが、ハグをしたいと思わせてくれる彼女たちがとても好きです。
先生の中にもハグをできる人がいますが、私がそうできる人数は圧倒的にブラジル人が1番多いのです。
日本人でできるのはフラットメイトくらいです。
あとは昔からの友人たちもですが、それは慣れもあります。
ハグより握手が一般的な社会に生まれて、ハグが好きで握手が苦手な私は上手く生きていけていないのかもしれませんが、それでも私のハグで喜んでくれる人がいることが幸せなのです。