After all, it isn’t my business, right?
神経をすり減らしながらも、私は毎日のように通訳に徹していました。
そんな中、ホストマザーは私と同じステイ先の日本人の男の子の学校から送り迎えをしていないと注意を受けた日がありました。本当はホストが車で通学の手助けをする契約だったそうなのです。
そこで彼女が私に翻訳させたないようはこうです。
彼の学校へ行くのにバスだと10分、車だと混雑しているから40分かかる。
もし、彼がバスでの通学を望むなら、車を使う必要がない。
バスを使うなら彼が直接担任の先生にその旨をバスの方が快適だという意を添えて伝えなくてはならない。
なるほど、ガソリン代はホストの自腹ですが、バスなら以前に電子カードへ私が入金しておいた50ドルがありますから、損得で言うと明らかにバスを選んでもらいたかったみたいです。
彼が「車」という度に遅刻するかもしれないと仄めかしていました。
そして、ついに彼がバスを了承してやっと解放されました。
確かにバスの中はこのような感じで、あまり混むことがないので座れることの方が多いですし、私でも乗ることができます。とは言え、アナウンス等がないので降りる場所がわからなくなることもありますが概ね大丈夫です。
しかし、現代っ子さとり世代。2日経っても彼は自分で教師に言えませんでした。
何も知らせないままバスでの通学を続けていたので、またホストマザーに電話が入りました。
もちろん、怒られたのは私です。私の言語スキルがないのが悪いのです。
私は彼にどうしても伝えられないのか尋ねました。
答えは「うん」という簡潔なもの。そこで、私は思案しました。
同じ日本人の私なら状況を上手く連絡できるのではないかと。
正式な手紙の書き方は習得していましたので、私は一筆とりました。
彼の研修の担当教師の方に宛て、
道を彼が熟知していること
バスでの登下校に問題がないこと
などの要点をまとめ、私の名前と大学名も添えて書きました。
自分で言うのもおかしなものですが、便箋もきちんとしたものを使い、後は彼が手渡すだけでいいようにしておきました。
しかし、それを見たホストマザーが怒り狂いました。
曰く、これは彼女と彼の関係であって私の出る幕ではないとのこと。
そんなこと、とっくの昔にわかっています。
埒があかないから、そのような手段をとっただけです。にも関わらず、なぜこんなにも責められるのか。
私はわけがわからなくなり自室で泣きました。
手紙はどこかにやられてしまったみたいです。
やがて、私の嗚咽に気づいたJが遠慮がちに声をかけてきました。私は包み隠さず理由を話しました。彼女の母が敏感にもその気配を察して、Jを追い出し、慰めるふりをしてくれました。
それでも、私の手紙は返ってはきません。彼女からしてみれば、おそらくそこに家の悪口が書いてあると思ったのでしょう。実際は、彼のことを褒めただけの内容だったのですが、仕方ありません。
次の日、バスで行くと言っていた彼は車で送ってもらえたそうです。
実際にかかったのは12分程で、やはりさほど混雑していなかったようです。
遅刻しなくてよかったね。そう思いつつも私の中で、彼女に対する信頼は薄くなっていく一方でした。