It isn’t my business ってこのことです!
ようやくホームステイにも慣れて来た頃。
日本人の中学生が同じ家に10日間滞在することになりました。
私の通っている語学学校では、同じ国籍の生徒を同時に受け入れることを禁止しています。つまり、相手の使っている会社がそれを良しとしようがしまいが、私側からはNGということです。
しかし、彼が来ると知らされたのは、それが起こる1週間前のことでした。私に拒否権はありませんでした。
一応ホストマザーには「日本人の男の子が来るけどかまわないか」と尋ねられましたが、もうずっと前から計画されていたことを、今さら伝えられてもどうすることもできません。
その上「彼と日本語で話すところを見たい」と強請られてしまいました。
私は英語の勉強をしたかったですし、彼もそうだろうと思い「日本語でのみ会話する気はないし、私は私で英語の練習をしたい」旨を了解してもらっていたはずなのですが、こういう時はおかしなことがあるものなんですよね。
私が学校から帰ると、彼はもう到着していました。
“How do you do?”
はじめまして、と話しかけてみました。
反応はありません。
ホストシスターが彼は日本人だと私に言いました。
もちろん知っています。しかし、私に日本語を使う気はありませんでした。
ちょっと意地悪かもしれませんが、私はただ自分の勉強をしたかっただけなのです。
仕方がないので、私が日本人であること、他の人種にステイしている子が別にいること、強迫性障害のことを日本語で教えました。
彼はホストシスターの上の子よりも若かったのですが、ずっと落ち着いていてほとんど相槌以外のリアクションは返ってきません。
家のことを説明するようにホストマザーに言われ、彼に一通りのことを話しました。彼との会話の中でわかったのは、彼もまた他に滞在している人がいると知らなかったということ。
学校のプログラムでの研修旅行だということ。
携帯は持ってきていないということ。
ちょっと頭の痛くなる展開でした。そして、夕飯の席で案の定お仕事が与えられました。
土日を使って私は普段の家事手伝いの他にすることができたのです。
彼が通うことになる学校まで案内すること。
もちろん、私はそこに行ったこともありませんし、バス代も自腹です。しかも、方向音痴。
それから、乗っても大丈夫なバスの番号、時刻表を教えること。
ホストファミリーと彼との会話を全部翻訳すること。
次週、友達と行く予定だった観光地に彼とホストシスターを連れて行くこと。これは、おそらくお金の問題でホストファミリーが本来する接待をついでに押し付けられただけです。
幸い彼は覚えがよく通学路もしっかり記憶してくれました。
しかし、さとり世代。私もそうですが、彼の方がさとり具合が進んでいて受身態勢なんですよね。
仕方がないのかもしれませんが、私はずっと通訳することを強いられましたし、YesかNoかを答えられない彼について私の英語力が乏しいからだとホストマザーに責められました。
まだ私自身もそんなに英語ができるわけじゃないのにと悲しくなって、学校のスタッフさんに相談しました。アドバイスとして言われたのが「それはあなたの仕事じゃない」という言葉。
仕事と言いつつもしょせんはボランティアなんですよね。
私もそのことはよくわかっていましたし、ホストマザーからの圧力には屈せません。でも、慈善行為なのです。だから、多少の失敗はしてもいいし、本来なら言うことをきく必要もないんです。
それは単なる私の好意だったのですね。スタッフさんの言葉で改めて私の義務ではないと実感でき、安心しました。
それでも、家に戻るとやっぱり呼びつけられるものです。
少しだけ気楽に接してみようって思っても、状況が変わるとまた自分を追い詰めてしまう。
私が働きが不十分なことで、迷惑をかけてしまうのではないか。
そんな加害脅迫が復活しつつありました。