外国暮らしの病

心の病を患って数年。なんと海外に飛び出ちゃいました! そんな私の留学生活日記。→帰国しました

八方塞がりでも

前回、私の生活圏内の工事の多さにまるで八方塞がりだという記事を書きました。
それは今でも変わっていません。
私は土が怖いという変わった症状をもつ病気です。
正確に言うと、私が特に汚いと感じるのが土というだけであって、他にもやたら「なにか」が恐ろしく思えるというものです。
さて、そんなこんなで私は家から出られなかったり、逆になかなか帰宅できなかったりするのです。
それも全て工事によるもの。
私はそこに職の貴賤などを微塵も感じてはいません。
そういうことをしてくださるのはとてもありがたいことですから。
ただ私が恐ろしいのは「土」と触れているという事実だけなのです。
そのため、避けてしまい不快な思いをさせてしまっているかもしれませんが、それは単に「土」を連想してしまうからなのです。
つい先日も私は家に戻ることができずに立ちすくんでしまいました。
ちょうど現場を観察している作業員の方が道路で呆然とする私に声をかけてくださりました。
「通って大丈夫ですよ、どうぞ」
しかし、私にはそれができないのです。
私は素直に、
「申し訳ないのですが、病気のせいで土が怖くて……」
と言ってしまいました。
すると、作業員の方は路肩に停めているトラックを退かそうかと提案してくださったり、なにか解決策がないか考えてくださったりしました。
私はそれがとてもうれしかったのです。
こんなおかしな病気でも、初対面なのに丁寧に接してくださる方もいるなんて、びっくりしました。
結局、私は遠回りをして帰路につきました。
次の日、また私はその道に面しました。
工事はなおも続いています。
前日よりは砂感が少くなんとかならなくもないような……と思考している私に声をかける人がいました。
件の作業員さんです。
「今日は大丈夫ですか? もうすぐに出ますから」
とのこと。
私はまたもひそかに喜びました。
覚えていてくれたことも、気にかけてくださったことも。
私は今度こそそこを通ることができたのです。
こういう偏見のない素直な心をもつ優しい人が溢れてくれたら、私のような者が生きやすくなる。
本当にそう思うばかりです。
それを教えてくれたあの方には感謝しています。