星が見えますか? そうでなければ違います
ホームステイ先を変えてから、私は重い頭痛に悩まされるようになりました。
原因はいくつか考えられます。
大きなものだと環境の変化によるストレスと疲れ。
それから、微妙に気を遣う生活でしょうか。
私の新しいホストマザーには離れて暮らす娘さんがいます。
普段はお父さんの家にいるそうなのですが、毎日のように来てシャワーを浴びて寝る直前までずっとホストマザーと過ごして、夜が更けてから車で送ってもらうというのが習慣でした。
このことについて、私は特に気を悪くすることはありませんでした。
しかし、年下の彼女から母親と2人きりの時間を奪っているようで、申し訳なくなったのです。
もし私が彼女なら、私はきっと耐えられないと思うのです。
自分の母親が自分ではない誰かを家に置いているなんて。
以前の滞在先での娘さんの悲痛な叫びを目の当たりにしていた経験も、私の心苦しさを裏付けているようにしか感じられなかったのです。
思春期の女の子の母親へ対する執着心はよく知っています。
そして、また邪魔をされた時に得る孤独も馴染み深いものでした。
私のせいでこの子が辛い思いをしているのではないかという加害強迫に苛まれてやみません。
ホームステイの闇でした。
頭痛は段々とひどくなり、ついには蕁麻疹まで出るようになりました。
不整脈のせいで、下校中に歩けなくなるなんてことも増えました。
自分でも信じられないほどの不調でした。
しかし、この時期はまだ学校を休むなんて発想は持ち合わせていなかったものですから、しばらく我慢していました。
やがて、授業中にも蕁麻疹が襲ってくるようになり予約をとってクリニックへ行きました。
今回も通訳はつけていません。
蕁麻疹はそれとして認められました。
一方で、日本では偏頭痛とされる症状については、
‘Do you see the star?’
と尋ねられ、何のことかわからず説明を求めたところ本当に星の画像を見せられたのが運のつきでした。
頭痛がおこる時に星は見えません。
私は素直に’No’と答えました。
すると医師はそれは偏頭痛ではないと言ったのでした。
私は完全に混乱状態です。判断材料がそれだけというのもおかしな話ですし、星が結局のところ何なのかわからないままだったものですから。
そして、あっさりと帰されてしまいました。
後日、語学学校のスタッフさんに聞いたところ、彼女もよくわからないとのことでした。
ただ、推測するに目がチカチカするかということだったのではないかと。
しかし、私が見せられたのは本当に星の写真です。
宇宙の星、です。
こういうものってとても解釈するのが難しいので、私のように知識がない者には困ることがたくさんあります。
それは通訳をつけていてもありうることですが。実際にそういうこともありました。
まあ、とにかく私の頭痛は偏頭痛でもなんでもないものだとされてしまったのです。
日本の心療内科でもともと偏頭痛持ちと診断されていたのですが……
海外のクリニックにお世話になる際はこういう細かいところに気をつけてみてください。
日本と違った診断を下されることもあるので、ご注意を。