外国暮らしの病

心の病を患って数年。なんと海外に飛び出ちゃいました! そんな私の留学生活日記。→帰国しました

新しい一歩も葛藤がつきものです

私が連れて来られた先は大きな平屋でした。

私の暮らしている国では1階しかない家も珍しくないのですが、全く段差のない家というのは初めてでした。

ウッドデッキのような庭にレンガ造りの門。

以前のステイ先よりずっと裕福なのが外観からしてもわかります。

家の女主人は私を快く迎え入れてくれました。

事前情報では娘さんと息子さんがいるとのことでしたが、彼らは離婚した旦那さんと住んでおり、1人では淋しいから学生の受け入れをしていると教えてくれました。

この国の女性は自立しているためか、離婚率がとても高いのです。

彼女は少しだけ日本語が話せ、日本料理が大好きなのだと言いました。

それを知って私は少しだけ安心しました。

立派なシステムキッチン付きの、ダイニングで私は事前に書いておいた手紙を渡して、前の滞在先での裏切り、それによる症状の悪化を話しました。

彼女は以前に強迫性障害の子を受け入れていたことがあって、私のものには一切触らないことを心得ています。

ありがたい限りです。

彼女は本当にいい人で、ハグとホームパーティーが好きな陽気な性格の持ち主です。

私もハグが好きだと伝えると抱きしめてくれました。

柔らかく、温かい人肌に包まれている幸せを再び味わえることに喜びがこみ上げました。

彼女は料理がとても上手だということで、私に日本食を振舞ってくれました。

揚げ出し豆府丼。彩りも鮮やかで、おいしかったことを今でも忘れてはいません。

与えられた部屋は陽当たりの良く、大きな窓からは庭が見えます。

リビングには暖炉がありました。その場で火を入れてくれ、私は充分に温まることができましたし、夜には廊下のヒーターをつけてくれます。

シャワーは好きな時間に入ってもいいし、洗濯機は自分で使えます。もちろん無制限Wi-Fiも。

しかし、一方で私には密かな葛藤もありました。

人種の差なんて気にしたこともなかったのですが、奇しくも彼女は前のホストマザーと同じインド人でした。しかも、ベジタリアン。

前のホストマザーとの共通点が多かったため、うまく馴染めるかが不安ではありました。

また同じような目にあったら、きっともう立ち直れない。

あんなに苦しい思いなんてもうしたくない。

うまく信頼できないかもしれない。

そんな予感が私の頭の中を駆け回りました。

また、この家では完全なる土足生活を強いられます。

それが私には負担でした。

しかし、それを除けば随分と快適な場所です。

この家にいつまで居ようか。私はすでに考え始めていました。